近年深刻な高齢化社会を迎え、ケアマネジャー(介護支援専門員)という職業は需要が高まりつつあります。
しかしその一方で、利用者などから、ケアマネジャーは不要では?という意見も多数上がっています。
その一番の理由としてケアマネジャーの質の低下が最大の原因と言われており、近いうちに「ケアマネジャー」という職業が廃止されるのではないかとまことしやかに噂されているのです。
そのような「ケアマネジャー」廃止の噂について、介護に関わる一個人として私的な見解を織り交ぜながら解説をしていきたいと思います。
ケアマネジャーは果たして不要なのか?
まず初めに、介護の現場で本当に不要なものなのかどうか?
そもそも一般の方々が、複雑で変更が頻繁に行われる介護保険の制度自体を完全に理解することは難しいのが現状です。
高齢者が自身で利用サービスを選択したり、サービスの事業所と利用する高齢者の家族が直に契約をするといった状況は考えにくいでしょう。
言い換えれば、当面のケアマネジャーという職業がなくなることは当面ないと言えるでしょう。
ケアマネ資格の厳格化の可能性あり
介護の現場では、国家資格の介護福祉士の上で、国家資格ではないケアマネジャーが働く現状をいかがなものか?との意見も多く上がっています。
現在の介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格は、21の法定資格を持ち、5年以上従事していた者、あるいは5~10年以上の介護経験がなければなりません。
しかし以前は、5年以上従事しただけでケアマネジャーの資格を簡単に取得することができました。
そして今でも、現役で利用者様をサポートしているケアマネジャーの中には、この簡単にケアマネジャーになれた世代も含まれています。
簡単にケアマネジャーの資格を取得できたからと言って一概に能力が低いとは言えませんが、実際にその世代のケアマネジャーが酷いケアプランを作っているといった事例が問題視されています。
受験資格を緩くすることで不足していたケアマネジャーの数を増やしたことが質の低下につながっていると考えられます。
現在ケアマネジャーの数が有り余っており、逆に質を上げるために資格取得のハードルを高くし、優良な資格による差別化を図ってゆくことになるかもしれません。
居宅介護支援事業所そのものが廃止になる可能性も
近年は有料老人ホーム・訪問介護事業・居宅介護支援事業所などの分野に「介護ビジネスは儲かる」と、民間企業が続々と参入してきています。
もちろん民間企業ですので事業利益を求めます。
そして、その利益を上げるために、本来は必要のない介護サービスの利用をさせる、他よりも高額な自社系列のサービスを勧めるなど、不適切なケアプラン作成を行っている事業所もあり、実際に不正受給をしていたとして数多くの居宅介護支援事業所が処分を受けています。
このような事を考慮し、一部の自治体では居宅介護支援事業所を全面廃止にしたり、全ての居宅介護支援を地域包括支援センターに統合するといった動きもあります。
まとめ
現実的には、ケアマネジャーという職業がなくなることはないでしょう。
しかし、今後はサービスの質の向上や個々の技能が求められることによって、ケアマネジャーの雇用数は減少していくと思われます。
また相談員自らが、サービス計画書を立てられるようになることで施設でのケアマネジャーの必要性もなくなり、人件費のコスト削減にもつながるでしょう。
すぐにも新たな制度でケアマネジャーをふるいにかけるといったことは考えにくいですが、今後は次のような方向性になるのではないかという気がします。
1.居宅のケアマネジャーは地域包括支援センターに一本化され、一定の基準を満たす優秀なケアマネジャー(主任ケアマネジャー)のみが求められるようになる。
2.施設の相談員がケアマネジャー業務を兼任する形になり、それにより相談員という職業の重要性が見直され、介護保険制度の理解とケアプランの作成といった業務スキルも求められるようになる。
断言は出来ませんが、私的にはこのとような方向性流れで介護サービスの見直しが行われる気がします。
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