家族が亡くなくなると悲しむ間もなくその瞬間から、遺体の移送、葬儀社選び、訃報通知、葬儀の形式、お墓といった事を考えなければいけなくなります。
しかし、家族を失った不安定な精神状態で数百万円といった金額が絡む葬儀を取り仕切るため、葬儀業者とのトラブルが後を絶たない状態です。
そこで肝心なことは、事前に葬儀に関する基礎知識を知っておくことです。家族の死に直面し、急な判断が求められても基礎知識が備わっていれば、最低限のトラブルは避けられます。
まず葬儀に関する基礎知識として、葬儀費用について説明していきます。トラブルを未然に防げるだけでなく、葬儀費用の節約にも役立つ情報になりますので、出来るだけ予算を抑えたいという方は必見です。
意外と知られていない葬儀の世界
日本では毎年125万人以上の方が亡くなっており、その大半は65歳以上の高齢者です。高齢化が進む日本では、2040年まで死者の数は増え続けると予測されています。
そして人の死と深い関わりがあるのが葬儀です。これまで葬儀と聞けば「縁起悪い」と懸念されてきましたが、近年では「終活」や「自由葬」といった形で、我々にとっても身近なことになっています。
しかし一方で、心ない一部の企業では人の悲しみを利用したビジネスを行っているのも事実です。大切な人を亡くし悲しみに打ちひしがれる家族から、高額な葬儀費用をだまし取る被害も頻繁に起きています。
葬儀費用に関するトラブルの原因
葬式トラブルとして最も多いのが、チラシやインターネットに掲載されている金額と、実際に請求される金額が大きく違うといったトラブルです。
こういったトラブルが起きる要因は、大きく分けて2つ。1つは葬儀業者の不親切な料金掲載方法。そしてもう1つは、利用者の葬儀に関する知識不足です。
どちらが悪いということについての言及は行わず、まずは葬儀にかかる費用についてを理解することから始めます。そうすることで、そもそもトラブルにはならず悪徳葬儀業者も見抜ける知識が付きます。
葬儀にかかる費用
形式によって違いますが、葬儀にかかる費用は大きく分けて「葬儀一式」と「実費」「お布施」の3種類があります。
葬儀一式
葬儀業者のチラシやインターネットでよく見るのが「葬儀一式」という文字です。実はこの「葬儀一式」は葬儀業界の業界用語でもあり、我々一般人向けの言葉ではありません。
大抵の人は「葬儀一式」と聞いたら葬式にかかる費用全額と思っている方も多いはずです。しかしこの「葬儀一式」という言葉が、葬儀費用トラブルを引き起こす一番の原因でもあります。
葬儀一式に含まれる内容は次の通りです。
- 祭壇飾り一式
- 棺一式
- 故人の移送費用(病院~自宅・葬儀場)
- 枕飾り(自宅での飾りつけ)
- エンバーミング・メイクアップ(遺体の修復・保存処置)
- 人件費
実費
葬儀一式が最低限必要な項目であれば、それ以外に必要な項目は実費となります。実費の大半は参列者の人数によって前後します。
葬儀費用トラブルの多くは、チラシやインターネットに掲載されていた葬儀一式料金だけだと思っていたのに、実費の金額が追加された料金を請求されたから起きています。
実費に含まれる内容の例は次の通りです。
- 通夜料理
- 精進料理
- 火葬場での飲食
- 会葬御礼品・香典返し等の返礼品
- 遺族名義の供花
- 式場葬儀の場合の利用費
- 火葬場利用費
- 霊柩車
- マイクロバス
お布施
本家代々で古くから付き合いのあるお寺(菩提寺)がある場合は、葬儀の前に住職に連絡をし、読経依頼や戒名内容の相談などを行う必要があります。その際に住職に支払うのがお布施と呼ばれるものです。
ちなみにお布施の金額は、住職による読経や戒名は商売ではなく宗教上の仕来りになりますので、明確な定価といったものはありません。
お布施の内訳は下記の通りです。
- 読経(通夜と火葬式の2日間分)
- 戒名料金
葬儀費用の相場は?
日本消費者協会が行ったアンケートによると、過去3年間に「身内に葬儀のあった人」が葬儀にかけた費用の総額は、全国平均で1,998,861円とのことです。そのうち、最高額は810万円、最低額は20万円でした。
葬式は家族の最後を飾る大切な催事。安ければ良いというものではないので、保険や貯蓄でお金を貯めておく必要があるのかもしれませんね。
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