浮気の現場を直接目撃したのであれば、相手を問い詰めることも容易でしょう。しかし、そういう状況に遭遇をせず、勘や雰囲気、あるいは小さな証拠などによって浮気や不倫の事実を迫り相手を問い詰めるのは、決して簡単なことではありません。
そんな時に思いつくのが、浮気調査。非常に有効であり、うまくいけば浮気をしている証拠を掴めるはずです。
しかし、そんな浮気調査も度を越せば違法行為とみなされることがあります。浮気調査を個人で行う場合はもちろん、探偵事務所などに依頼する人も、「どのような行為が違法となってしまうのか」などに関する知識は持っておいた方がいいでしょう。
浮気調査がプライバシーの侵害となる可能性
浮気調査は、相手が誰にしろ、その人を尾行したりなどによって素行を調査したり、必要であれば聞き込みをするなどし、証拠やそれに近いものを手に入れようとする行為です。
となれば、それは当然その調査対象者のプライベートにも入り込むこととなり、それによってプライバシーを侵害してしまう恐れも出てくるわけです。これが浮気調査で最も注意しなければならない違法行為。
「ここまでは大丈夫だろう」と思っていても、浮気や不倫の証拠を掴みたいがために行動がエスカレートしてしまうことは十分に考えられます。
仮にその行為がプライバシーを著しく侵害していると認められれば、浮気の証拠を掴むどころか、逆に「プライバシーの侵害」を理由に訴えられ、浮気調査の中止を命ぜられたり、損害賠償や慰謝料を請求されたりという事態につながってしまうでしょう。
浮気調査は、その方法や手段などによってはプライバシーの侵害になる可能性があると認識しながら、それを遂行していく必要があります。この点に注意しなければならないのは探偵事務所に限らず、個人も同様です。細心の注意を払い正しい知識を持ちながら、浮気に関する調査を進めていきましょう。
特に注意したいのは盗撮と盗聴
プライバシーを侵害する浮気調査にもいろいろと考えられますが、その中でも多くの人が比較的楽にできてしまうのが「盗撮」と「盗聴」です。
パートナーに対する盗撮や盗聴は、ふたりの関係性が赤の他人同士ではないことから違法行為ではないとする専門家の意見もありますが、行う場合にはやはり注意が必要でしょう。部屋を盗撮するのと、お風呂場やトイレ、寝室などを盗撮するのとでは、意味合いも少し変わってきます。
盗聴に関しても同様で、夫婦や恋人同士で共有していない場所での盗聴となれば、それは個人で行ったとしても、違法行為に問われる可能性が出てくるでしょう。
また、例えば、パートナーの不倫相手であると考えられる人に対する盗撮や盗聴は、これは紛れもなくプライバシーの侵害にあたります。夫婦とは異なり赤の他人に対してこのような行為を行えば、例え浮気調査のためであったとしても、相手方に裁判を起こされれば負ける可能性が大きいでしょう。
このように盗撮や盗聴行為は、その対象者が誰なのか、どこに仕掛けるのかなどによって、違法となるかどうかが決まってきます。
盗撮や盗聴のための機器は個人でも容易に手に入れられますが、だからといって安易に使用すると違法行為となってしまうかもしれません。慎重に、あるいは冷静になってから行動に移すようにしてください。
その他の違法行為になりそうな浮気調査
違法になる可能性の高い浮気調査は他にも幾つか考えられます。
例えば、パスワードや指紋認証によって鍵のかかっているパソコンやスマートフォンを所有者の許可なく勝手に解除し、中身を閲覧する行為。これも、特に個人で浮気調査を行う時にやってしまいがち。
パスワードなどがかけられていなければ、パートナーのスマートフォンや携帯電話の中身を見ることは許される、とする専門家の意見が多いです。しかし、パスワードがかけられたものは所有者が敢えてそうしていると捉えられるので、これを勝手に解除することは「不正アクセス禁止法」などに違反すると考えられるでしょう。
GPSを使用した車の追跡なども、プライバシーの侵害や「ストーカー規制法」に抵触する可能性あり。通信傍受も当然、違法となり、場合によっては違憲となるので注意が必要です。尾行も度が過ぎるとこの法律に引っかかる恐れが出てくるでしょう。
パートナーが不倫相手と思われる人の家に入った時、その敷地内に侵入する行為や押し入る行為は「住居侵入罪」に該当する恐れがあるため、これも控えなければいけません。これは、盗聴器などを仕掛ける目的であっても同じ罪に問われます。
このように、浮気調査というのは一歩間違えれば違法行為となり、いくらパートナーが浮気や不倫を実際にしていたとしても、調査した人のその違法行為が罪に問われなくなることはありません。
証拠を掴もうと必死になった結果、自らが犯罪者になるかもしれないというリスクがあることを認識し、適切な方法で証拠集めに取り掛からなければならないのです。
違法行為によって得た証拠は証拠とならず
「違法収集証拠排除法則」という法理、つまり、法の原則があります。これは、「違法行為によって得た証拠は、これを証拠とは認めない」というもの。法律には明記されてはいませんが、判例によって幅広く認められていると言えるでしょう。
要は、これまで説明してきたような、プライバシーを侵害したり、不正アクセス禁止法やストーカー規制法などに抵触する行為によって集められた証拠は、いくらそれがパートナーが浮気や不倫をしているという揺るぎない状況を映し出していたとしても、裁判等ではそれを証拠としては認められないということ。
その証拠集めにかけたお金や時間が全くの無駄となってしまうということですから、やはり違法行為による浮気調査はするべきではありません。
また、どのような調査方法が違法行為となるのかを認識してから、浮気調査に乗り出さなければいけないのです。
浮気調査は信頼性の高い探偵に依頼すること
もしかしたらパートナーが浮気をしているかもしれないのに、浮気調査が違法にあたるかもしれないと言われたら、「何にもできないじゃないか」、「泣き寝入りするしかないのか」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。パートナーの浮気や不倫の証拠を押さえることは、合法的に可能です。
探偵事務所に依頼をすればいいのです。
ここまで説明してきたような、何をしたら違法となるのか、どこからどこまでが浮気調査として合法なのか、ということは、探偵事務所であれば熟知していますし、違法とならないような調査によって浮気や不倫の証拠を集めてくれるはず。
個人で調べても決定的な証拠が見つからず、「これ以上やったら違法行為に問われてしまうかもしれない」と心配しているのであれば、探偵事務所に依頼することがベストな選択となるでしょう。
その際には、必ず信頼性の高い探偵事務所に依頼することも忘れないでください。中には違法行為によって浮気調査を行う悪徳な業者もあります。それに引っかからないよう、探偵事務所の選び方などの情報も集めた上で、相談に訪れるようにしましょう。
いち早く証拠を手に入れたいと思うはずですが、後々のことを考えれば、探偵事務所の選別時から浮気調査が始まっていると認識しておくべきなのかもしれません。
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