婚約期間中に、婚約者が浮気をしたとなれば、もうこの人とは結婚したくないと考えて当然です。頭に来ますし、実際に結婚準備を進めている中での出来事であれば、それらに費やした時間や費用もすべて、無駄になります。
そして何より、「この人」と決めた恋人が、自分を裏切ったことになります。夢も希望も打ち砕く、卑劣な行為と言って良いものです。この心の傷に対して、慰謝料を請求することができるとされています。
婚約って?慰謝料って?
まず、「婚約」の定義から考えましょう。最低限、男女間で結婚の約束がされている事が必要で、公的な書面も、婚約指輪も、結納も必要ありません。口約束でも成立します。
次に「慰謝料」ですが、精神的苦痛を金額化したものです。物質的、経済的な損害は計算で出すことができますが、心の傷は誰にも代わってあげられませんし、どのくらい痛いのか、つらいのかも他人には計り知れない部分です。他に手段がないので、心の痛み、傷に対してはお金を支払いましょう、というのが慰謝料です。
このことから、「婚約解消による慰謝料」とは、婚約する二人のどちらかが原因で婚約を解消せざるを得なくなった時、原因を作った方がもう一方へ支払うお金のことを言い、結婚できなくなった責任を、お金を支払うことで償う事になります。
婚約解消が認められる正当な理由
とは言え、やたらと婚約して、次々に解消できては大変です。結婚の意思はそうそう変えることはできない、と一般的にも考えられています。
一般的に「正当な理由」なしには、婚約は解消されないとされています。
- 暴力を受けたり、暴言を吐くなど、婚約者の人間性が疑われる
- 経済面での著しい困難
- 婚約者が大きな病気やけがをし、精神病や身体障碍を持ってしまった
- 婚約者ではない相手と性的関係を持った
浮気は十分、婚約者の信頼を裏切るもの、その後の結婚生活が困難になるものとして認められています。
まだ結婚していないのに浮気はダメ?
「まだ結婚していないけど、浮気はダメなの?」と思うかも知れませんが、「婚約」とは、婚約者以外とは結婚しない約束です。この約束は、婚約者以外の異性とは新たに関係を生まない約束のことなので、仮に片方が裏切ると、残った片方が取り残されることになります。
恋人の浮気による心的な損害、この傷が深いことは、誰でも想像ができます。もし結婚適齢期、あるいはやや遅めの女性が婚約者に裏切られたとなれば…怒りや悲しみ、心身ともに被る苦痛は計り知れません。これは男性とて同じこと。裏切られたのが男性なら、慰謝料を受け取る権利があります。
浮気のケースでは、絶対に「結婚していないから、婚約中はギリギリセーフ」ではありません。正当な婚約破棄の理由になります。婚約には約束としての重みがあることを理解しておきましょう。
婚約解消の慰謝料を請求する手順
では実際に、慰謝料請求の方法を確認しましょう。
婚約を証明する
何事もなく結婚に至ったカップルにとって、プロポーズの成立(婚約)はそれほど重要ではありません。有名人の結婚会見などでも、「特にプロポーズの言葉とか、なかったよね」と言うケースはたくさんあります。
結婚してしまえば婚約はあってないようなもの。しかし婚約解消でトラブルになった場合では、大変重要な意味を持ちます。
このような場合では、相手に「婚約していない」と言い張られてしまうケースが多いようです。この場合、婚約を証明する必要が出てきます。大変難しい問題となる場合が多いようです。
- 家族や友人へ婚約者として紹介、あいさつしたか
- 結納を交わしたか
主にこの2点によって証明されることが多いですが、婚約に際し「婚約証明書」を作成しておいても証明となります。
難しい問題と言うのは、そもそも婚約が口約束で成り立つものだからです。トラブルの結果、裁判になった場合、争点が「婚約の公然性を持つか」になることが多いようです。
つまり、当事者間のみでなく、友人、家族、親戚、会社など広く婚約が認識されていたかどうかを確かめる作業になるでしょう。
慰謝料を算出する
結婚準備に使い、無駄になった金額と、心の痛みとしての「慰謝料」を合算します。
結婚準備に使った金額としては、新居の準備費用、式場のキャンセル料、「家庭に入ってほしい」などと頼まれて仕事をやめた方の場合は、得られるはずだったお給料も請求ができます。
苦痛への対価としての「慰謝料」は、決まった金額があるわけではありません。ある意味自由ですが、数千万円などの法外な金額を請求しても、相手が支払うことができない可能性が高まります。
そうなれば裁判に発展するなど、時間的にも心身的にも苦痛が長引くと考え、一般的には相手の経済状況を加味して100万~200万程度、とする方が多いようです。
請求を相手に通知する
婚約の証明、請求する損害賠償金額、慰謝料金額を書面にし、相手に通知すれば請求となりますが、内容の漏れなど不備がある場合、効力を持たず、相手が支払いに応じないこともあります。
出来れば弁護士、行政書士など専門家に相談する方が無難です。
専門科は多くの似たような事例に対応した経験があることが多く、より良い方法、アドバイスを求めることができるでしょう。
婚約の重大さを相手と共有する
「浮気をする人は何度もする、しない人は絶対にしない」と言われることがありますが、人間は間違えることがある、と言うのもまた真実です。
婚約がどれだけの価値を持っているかは、当事者二人にしかわからないものかも知れません。それも、一方が強く深く、もう一方はそれほど重みを感じていないことさえあります。
- この浮気によって、相手は一生分の後悔をしたかも知れない
- 簡単にセックスしたがる人だったのかも知れない
どちらに捉えるかは、ご自身で見極める必要があるでしょう。怒って、悲しんで、泣いてばかりも知られません。落ち着いて決断しましょう。
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