介護者によっては「寝たきり介護の方が楽だ」と考えている方も多いようですが、それは大きな間違いです。人が寝たきりで生活するということは、様々なリスクを背負うという事でもあります。
寝たきりが続くと体の機能は低下する
寝たきり介護の一番のリスクは体力の低下です。
入院経験がある方ならお分かりになると思いますが、長期間寝た状態が続くと身体の機能は徐々に低下します。身体をほとんど動かさないため筋肉すっかり落ちて、同時に骨ももろくなるため骨折しやすくなります。
少しの動作でもすぐに疲れ、食事をするだけでも一苦労。そうなっては、身体に必要な栄養の摂取すらままならないといった状態にもなりかねます。
床ずれになりやすくなる
寝たきり介護の場合、床ずれ(褥瘡:じょくそう)を防ぐために体位変換を何度も行う必要があります。床ずれとは、身体の同じ部分に一定以上の圧力が持続的に加わわり、その部分の皮膚が炎症を起こした状態のことです。
床ずれは、自らの力で身体を動かせない高齢者や、身体に麻痺がありほとんど感覚がないといった高齢者によくみられる症状ですが、寝たきり介護は急激に体力が低下するため、元気な高齢者だから安心とはいかないものです。
また、排泄介助に関してはオムツになるので介護者にとっては実質的な労力は減るものの、常に便の状態に注意していなければ、便が原因で床ずれにもなりかねます。
介護にかかる費用が増える
寝たきり介護になるにともない、ベッドにはリクライニング機能が必要になり、オムツも大量に購入することになりま。そうなれえば介護にかかる費用もかなり増えます。
また、寝たきりになるにつれ本人の生活も大きく変わるので、それに合わせて身の回りの環境も変えなければいけません。費用だけでなく介護者の労力も増えることが予想できるかと思います。
寝たきりの人生という辛さ
そして何より本人が寝たきりでは、人生を楽しめないということです。
自分が寝たきりとなった場合をイメージして頂ければお分かりになると思います。車いすにも乗れず、このまま最期までベッドの上から同じ風景を見て過ごす人生。これほど辛いものはありません。
在宅介護は寝たきりにならないよなう環境作りが大切
座ることができれば排泄介助が楽になり、無理なく車椅子にも乗れます。また、身体を起こす事が出来れば、人の手を借りず、本人が自力で出来ることも増えます。その結果、家族の介護が楽になる事も十分に考えられます。
「最近、寝ている時間が増えたかな?」と感じた場合は無理にでも起きてもらい、軽めの運動を心がけるといいかもしれません。小さなことかもしれませんが、こうした介護予防が後の生活を大きく変えます。
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