いきなりですが、レビー小体型認知症という病気を知っていますか?
介護に関わらない方にはあまり聞きなれない病名だと思いますが、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症と並び三大認知症と言われています。
レビー小体型認知症の特徴
先日、勤務先の施設に新しいお年寄りが入居してきました。その方がレビー小体型認知症とのことで、あらかじめ症状についてなど知っていた方がいいと思い、ネットなどで病気について調べました。
しかし、こういった病気の症状は文章からの情報はあまりピンとこないものです。
レビー小体型認知症の特徴としては「とてもリアルな幻視(幻覚)が見える」とのことです。
また、体が震えるパーキンソン病も併発するようです。ネットで調べただけでは難しい専門用語が並べられて、具体的な事例などは分りませんでした。
限られた情報を念頭において当日を迎えましたが、「百聞は一見にしかず」とは正にこの事を言うのだと思いました。そして、認知症の症状を文章化するのはとても難しいことだと感じました。
幻視(幻覚)についてなどはネットで調べた情報通りでした。小さな子供の姿が見えるようで、「お母さんはどこ?」と誰もいない方向に話しかけていました。
会話に関しても、意志の疎通に少し食い違う点があり、問題ないとは言い難い状態ですが、本人様の名前の呼びかけに対してはしっかり返事をしてくれます。時々笑顔もみられて、おやつのプリンを食べては「最高!」と言ったりもします。
自分の名前はちゃんと分かっているようで、車椅子にもしっかり座ります。初対面の時は、アルツハイマー型認知症との違いが全く分かりませんでしたが、「あ、違うな」と感じたのは車椅子からベッドへの移乗、そしてトイレ介助時でした。
レビー小体型認知症の特徴の一つに、パーキンソン病の症状を併発すると、ウィキペディアに書いてありましたが、正にその症状が診られました。
筋力的には全く問題なく、手すりに掴まって立つことも出来るのですが、手すりを全く離そうしませんでした。
パーキンソン病特有の、筋強剛(手足の曲げ伸ばしが固くなる)、無動・動作緩慢などの運動症状が突然発症するのです。
「トイレなので便座に座りましょう。一度手を離しましょう」という問いかけに、「はい」「そうですね」などと返事はしてくれるも、手すりから手を離そうとしません。いえ、手が離れないのです。意識はあるものの体か思うように動かない。これがパーキンソン病に見られる一種の症状です。
そしていきなり、カクンとその場に座り込んでしまうのです。
私の働く介護施設では、入居したばかりのお年寄りのトイレ介助は、まず2人のスタッフが付くことが決まりなのですが、これは1人介助だと危険だと感じました。
幻視(幻覚)、独特の運動機能の低下、意思の疎通の難しさ。毎日この方と接していくうちに、アルツハイマー型認知症との違いが少しずつ分かるようになってきました。
もう1人、寝たきりのレビー小体型認知症を発症した入居者の方がいるのですが、思い返すと共通点もいくつかあります。
少し言葉が悪いかもしれませんが、レビー小体型認知症の方は、隣にいるけれど、どこか遠くを見ていて、心ここにあらずといったような症状の方が多いように感じます。
共通点はあっても、レビー小体型認知症に症状は人によって様々でもあるのです。
同じ認知症でも症状は様々
私の働く施設にはティッシュを食べそうになる認知症の方が多くいます。
「食べられないんですよ」と言うと、アルツハイマー型認知症の方は「だって目の前にあったから!」と怒り出します。
一方、レビー小体型認知症の方は、無言で遠くを見つめ、宙をつかもうと手を伸ばします。
文章ではとても伝えにくいのですが、同じ認知症でもレビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症とは明らかな違いがありました。
そして、その症状の特徴を踏まえた介助が必要だと感じました。
認知症患者に限らず、色んなお年寄りとたくさん接して、肌で感じて教えてもらって、その人にとっての最善の介護を自分なりに学んでいく。
介護は経験です。教科書やインターネットの情報だけでは全然不足していると感じました。
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