ITパスポートとは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家試験で、その手軽さから今、IT業界だけでなく幅広い業態に注目されている国家試験でもあります。
「ITなくしてビジネスは成立しない」という時代に、すべての人が最低限のIT知識を身に付ける目的で始まったITパスポートですが、「情報処理なんだかは難しそう」と懸念する方も多いと思います。
ですが、情報処理と言ってもプログラミングではなく、情報セキュリティや企業コンプライアンス、経営戦略、財務などITを用いた企業のしくみも含まれており、会社という団体の一人として働くなら、是非とも覚えておく必要がある分野なのです。
ITパスポートは就活や転職に意味ないゴミ?
ITパスポートは国家資格ですので、進学、就活、転職でアピールポイントになると言われています。
ほとんどの企業はIT化へと移行している中、高いITリテラシーを持っている人材として高評価されると、取得が推奨されています。
また、既に社員として働いている方であれば、ITのスキルアップにもつながります。企業によっては資格手当や奨励金を出したりする場合も。
しかし、知恵袋などでは「ITパスポートは意味ない」「ITパスポートはゴミ」といった意見も少なくありません。
資格取得で学ぶことは、決して無駄ではありません。パソコンが苦手な営業職の方にとってはITリテラシーも身に付きますし、デザイナーやプログラマーといったIT人材にとっても、重要な知識が得られます。
では、なぜ「ITパスポートは意味ない」「ITパスポートはゴミ」と言われるのでしょうか?
その最大の理由は、合格率の高さです。
ITパスポートの合格率は異常に高い
ITパスポートは国家資格なのですが、注目したいのはその合格率の高さ。平均合格率はなんと約50%です。国家資格の中では合格率は高い方になります。
決して試験が簡単というわけではありませんが、当たり前と言って良いレベルの問題がほとんどなので、ちょっと勉強するだけで十分取得が可能な資格です。
ちなみに偏差値45ほどの高校卒の私は、1日2時間を1ヶ月続けたら合格できました。買った参考書は2冊だけ。後は公式サイトの過去問をひたすらやっていただけです。
ITパスポートは受験資格なしで誰でも取得可能
さらにITパスポートは受験資格がなく、誰でも取得可能という点も「無意味」「ゴミ」と言われる理由です。
他の合格率が高い国家資格には「社会福祉士」や「介護福祉士」などがありますが、どれも受験資格が限られており、高い合格率の割に需要が高い国家資格となっています。
また、同様に受験資格なしで合格率が高い「電気工事士」や「危険物取扱者」は、資格を持っているだけで優遇される専門職となっており、取得したからといって何もないITパスポートは劣ります。
CBT方式で土日や夜間も受験できる手軽さも価値を落としている
ITパスポートが他と違う大きな点は、「CBT方式」の試験システムを導入しているところ。
「CBT方式」とは「Computer Based Testing」の略で、コンピュータを利用して試験を受けることで、受験者はパソコンを使って問題を解いていきます。
CBT方式導入前のデモンストレーションの被験者として受験したことがあるのですが、筆記用具、問題用紙、解答用紙はなく、目の前にあるのはノートパソコンと計算用の小さなホワイトボードだけでした。
パソコンもいたって普通で、ITパスポート専用のソフトを起動して試験を始めるといった具合。
まるで、自宅でインターネットのクイズを解いているような不思議な感覚ではありましたが、とてもリラックスして受験できた記憶があります。
そんな手軽さもあって、ITパスポートという資格の価値はかなり低いようにも感じます。
ITパスポートの試験概要と出題範囲は?
都内であれば毎週どこかの会場で受験が可能です。会場によっても違いますが週に5回行っている会場もあります。本当に気軽に取得が出来る国家資格なんですね。
受験料金は7,500円とちょっと高い気もします。
私が受験した当時は、ITパスポート自体新しく、過去問題が全くありませんでした。ですので、出題範囲が似ていると言われていた、シラバスの「初級シスアド」の勉強をしていました。
今は過去問題も充実して、出題傾向もはっきりしているのでもっと勉強しやすいと思います。現在、ITパスポートの過去問題は以下からダウンロードできます。
なお、ITパスポートの出題範囲は以下のような感じで出題されます。
ストラテジ系(経営全般):35問程度
- 企業と法務(企業活動・法務)
- 経営戦略(経営戦略マネジメント・技術戦略マネジメント・ビジネスインダストリ)
- システム戦略(システム企画)
マネジメント系(IT管理):25問程度
- 開発技術(システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術)
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント(システム監査)
テクノロジ系(IT技術系):40問程度
- 基礎理論(アルゴリズムとプログラミング)
- コンピュータシステム(コンピュータ構成要素・システム構成要素・ソフトウェア・ハードウェア)
- 技術要素(ヒューマンインターフェース・マルチメディア・データベース・ネットワーク・セキュリティ)
ITパスポートより取るべき資格
ITパスポートは、高校生からお年寄りまで幅広い世代が受験しており、リスキルで注目されている国家資格です。資格が何もないよりあった方が有利と、取得を検討している方も多いでしょう。
しかし、ふたを開けてみれば、取得が簡単、誰でも受験可能、実践にもあまり役立たない、取得したところで就活や転職に有利ということはないといった扱い。
であれば、誰でも受験可能で合格率の高い「電気工事士」や「危険物取扱者」の方が、雇う側からして箔が付いた人材に映るでしょう。
「電気工事士」を持っていればDIYで自宅の電気配線が出来ますし、「危険物取扱者」を持っていればガソリンスタンドやトラックドライバーでの活躍の場も広がります。
同じ、勉強する時間や費用を充てるなら、意味のある資格、役に立つ資格の取得に費やすことをおすすめします。
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