胃ろうは別名PEG(ペグ)と呼ばれ内視鏡を使って胃に栄養を為の穴を造る手術のことです。穴にはカテーテル(管)が取り付けれられ、そこから水分や液状の専用食を直接胃に流し込みます。
飲み込むという動作満足に出来ない嚥下障害の患者や、意識がなくそもそも食べるという動作が難しいという患者に適した、長期栄養管理法です。
マーゲンチューブと胃ろうの違い
似たような長期栄養管理法に鼻からチューブを入れて水分や栄養などを取りれるマーゲンチューブがありますが、鼻から喉にかけての違和感と肺炎の危険性が高くなります。
一方で、胃ろうの方が手術や栄養摂取においても患者の負担も少ないと言われています。
また胃ろうにしたからと言って、口から食べ物が食べられないというわけでもありません。むしろ可能であれば、これまで通り少量でも口から食べた方が患者にとっても効果的なリハビリになります。
胃ろうにするメリット
冒頭でいくつか簡単に胃ろうのメリットをご紹介しましたが、もう少し詳しくご紹介します。
肺炎のリスクを減らすことが出来る
胃ろう患者に限らず、高齢者の死因の3位が肺炎です。健康な高齢者でも肺炎で亡くなっているという事です。
つまり胃ろうはこうした肺炎のリスクを根本的に解消しています。
嚥下障害でなくても胃ろうを一種の延命治療と考える人も少なくないようです。患者にとっても負担が少ないことから、長生きしてほしいという理由で胃ろうを選ぶ人もいるそうです。
食事介助が大幅に改善される
これは、胃ろう患者にとってではなく介助者目線でのメリットです。仮に胃ろうにせず、介護食や嚥下食と言った流動食を口から摂取する場合、一番注意することは肺炎のリスクです。
満足に口から物が食べられない方に流動食での食事介助を行うわけですから、介助者は慎重に食事介助を行う必要があります。
まずは、食べ物が喉を通りやすいように患者の姿勢を変えます。そして、一口ずつ少量をゆっくり与えます。飲み込み(嚥下)を確認してから次の一口。流動食が口からこぼれるので前掛けも必要です。
このように何時間もかけて1食分の食事介助を行います。これを毎日3回。日中のほとんどは食事介助となるでしょう。
この他に排泄介助や入浴介助など介助者は付っきりになるでしょう。こののような介助者の負担を減らすことができるのもメリットでしょう。
胃ろうにするデメリット
なるべきしてなった胃ろうに関してのデメリットはあまりないと言われいますが、私の実体験や調べてわかったことをいくつかご紹介します。
免疫力低下による合併症
体力が低下した方に胃ろうの手術を行うと合併症が発症したりして重篤(病状がいちじるしく重くなること)になりやすい傾向があります。
その他にも、胃ろう周辺の皮膚がただれたりすることもあります。
認知所の患者はカテーテルを自ら抜いてしまう
体にプラスティックの機器が埋め込まれているわけですから、当然違和感はあります。胃ろうのことを理解していない患者さんはカテーテルを抜こうとします。
そしてカテーテルが抜けた穴は、耳のピアスの穴のように一晩で塞がることもあるそうです。そうなると再度手術となり、患者への負担が増します。
高価な栄養剤
胃ろう場合、基本的には専用の栄養剤が必要になります。
例えばメジャーな栄養剤の「味の素ファルマ ディムベスト(400ml)」は18個入りで1万円です。
1日3食なので、これだけで6日分となります。単純計算でも、栄養剤だけで毎月5万円となります。年金所得のみの方だと厳しいものがあるでしょう。
交換のための手術
約半年に一度、カテーテルを交換する必要があります。造設したカテーテルは食器のように洗う事は出来ません。
栄養摂取後は、水分補給もかねてぬるま湯を流してチューブ内を洗浄しますが、完全に綺麗になるという事でもありません。そうなると定期的に交換する必要が出てきます。
胃ろうの種類
胃ろうの増設には、バルーン型・バンパー型のボタン型・チューブ型と大きく分けて4種類あります。それぞれ長所と短所があるので、患者の症状・状態に適したカテーテルを選ぶといいでしょう。
バルーン・ボタン型
バルーン・ボタン型のメリット
バルーン・ボタン型のデメリット
バルーン・チューブ型
バルーン・チューブ型のメリット
バルーン・チューブ型のデメリット
バンパー・ボタン型
バンパー・ボタン型のメリット
バンパー・ボタン型のデメリット
バンパー・チューブ型
バンパー・チューブ型のメリット
バンパー・チューブ型のデメリット
胃ろうの手術
胃ろうの手術はとても簡単で、5分から10分程度で終了します。出血もほとんどありません。
麻酔も軽い部分麻酔で済むので患者の負担は極めて軽い手術です。「高齢者の胃ろう手術は体力的に心配」という相談を頂く事が多いのですが、そういった心配は全く不要です。
胃ろうを選択するのは家族
ここまで読んで頂いて「胃ろうって患者の負担も少なく介助者も楽で意外といいかも」と思われる方がほとんどかと思います。ですが、あくまで胃ろうは最終手段として考えてください。
患者本人は胃ろうに納得しているのか。胃ろうにしたら二度と普通の食事は出来ないかもしれない。本人は胃ろうに納得するのか。そしてほとんどの場合、胃ろうを選択するのはご家族です。
患者さんが少しでも口から食べられるようでしたら、胃ろうにする必要は全くありません。むしろ胃ろうにすることのリスクのほうが高いと言えます。口から食事をするリハビリに専念してください。
重度の嚥下障害があって食事が難しく、肺炎の危険性もある。意識がほんどなく、まともに食事ができない。そういった患者さんにとっては胃ろうは適した選択だと思います。
何らかの怪我や病気で入院をして、はじめは点滴で何とかなっていた。でも、点滴のままでは長期的に考えて十分な栄養が摂取できずに日に日に衰弱していく。
医師から「胃ろう」という急な決断を迫られる。その時に思い出してください。胃ろうは延命治療だということを。
記事のコメント
お仕事、学業等々、お忙しい中、早々にお返事ありがとうございます!!
心より感謝申し上げます。
時間に余裕なく、返信改めて書かせてください。
取り急ぎ、御礼までm(_ _)m
後悔しない決断を!とは難しいかもしれませんが、いい方向になるように祈っています。
頑張って下さい!
はじめまして。このようなサイトを作ってくださり、感謝します。
早速ご相談なのですが、父が大学付属病院に入院していて、昨夜胃瘻をすすめられました。
元は、結核で片肺がほとんど使えてない状態で、非結核抗酸菌症にかかり、長い間、片肺で頑張ってきたところ、ここ2年で急に悪化。
強い薬を飲むほかなく、抵抗力をつけるため、とにかく食べるのが仕事でしたが、なかなか思うようには食べれません。
みるみるやせ細り、今は骨と皮。そんな時に、尿が出なくなりカテーテルに。程なく原因不明の腸閉塞になり、先月末に入院。
腸閉塞は容態安定したのですが、食事を再開したとたん、高熱を出し、再び断食。
ptさんや呼吸器の先生方によると、どうやら、普通に誤嚥して、右肺に入っている模様。
すでに弱化している右肺はレントゲンで白く写ってしまうので、その裏付けは困難ですが、食事を止めると熱が下がる傾向にあるらしく、もし、このまま食事をしていった際に、唯一働いている左肺に誤嚥がおきてしまったら、呼吸不全になってしまうので、胃瘻かIVHをすすめられました。
もし、胃瘻にしても、嚥下のトレーニング等々をして回復すれば、食事ができるとのことで、胃瘻の方がいいのではないかと医師のご意見。
本人はもうろうとしている中、物を食べたそげで、いつ食べれるかは聞いた来ます。
でも、食べれば、誤嚥性肺炎になる可能性はかなり高く
=それは、死をも意味します。
もう、どうしたらいいかわかりません。
ちなみに、経済的にはかなり困窮しています。
そして、母も要介護2の状態で、私は朝から晩まで働き詰めを余儀なくされています。
なにかご意見お願いできたら、幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
A.K
A.K さん
コメントありがとうございます。
まず、退院後はどうなさる予定ですか?自宅に戻られるのであれば誤嚥性肺炎になるリスクはありますが、胃瘻を続けながらもいままで通り口から食事ができるでしょう。ただ、介護施設に入居するのであれば、医師の指示がない限り介護職員による食事トレーニングはまず行われないでしょう。当然、事故のリスクもありますので。
また、胃瘻にしたあとのリハビリまで親身に相談にのってくれる医師なら信頼してもいいのかなと思います。ちなみに、私の父の場合は穴を開けたら病院から追い出されて、そのまま施設に入居し、自分で調べてリハビリを行ってくれる医師を探しました。ただ、それまでに時間がかかりすぎ、口から食べなかった期間が長すぎて、結果的にうまくいきませんでした。
とにかく、胃瘻にしたら長生きします。どのような状態かは胃瘻にしたあとの行動にもよりますが。もちろん誤嚥性肺炎の心配も減るでしょう。(100%なくなるわけではありません)
私はその医師ではないので、胃瘻を勧める本当の理由は分かりませんが、医師は穴を開けたがると聞きます。経営のため、早く退院して欲しいのかもしれませんし。
とりあえず、医師に胃瘻にした後どうのように食事復帰させるかをもっと具体的に聞いてみるいいでしょう。リハビリ費用のこともかん替えておく必要があるとおもいます。
そして、本人と家族が胃瘻後も口から食べさせたいと思っていることを医師に伝えてください。
こちらも参考にしていただければとおもいます。
http://blog.10-plate.com/care/1707