介護士であれば誰しもが目指す資格が国家資格の介護福祉士です。介護業界では、介護福祉士となってからがスタートと言われるほどで、給料も介護福祉士を取得した後から上がり始めます。
しかし、そこは国家資格。国が認める職業ということですから、そう簡単には取得することは出来ません。現時点での介護福祉士になるルートは、大きく分けて3つのルートがあります。
1. 実務経験ルート
介護等の業務に3年以上従事した経験を有し、その後実務者研修を修了して、介護福祉士の国家試験に合格する方法。
2. 福祉系高校ルート
福祉系高等学校を指定された教科目・単位数を修めて卒業し、介護福祉士の国家試験に合格する方法。
3. 養成施設(大学など)ルート
介護福祉士養成施設(2年以上)卒業し、介護福祉士の国家試験に合格する方法。
福祉系大学を卒業した後、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業し、介護福祉士の国家試験に合格する方法。
社会福祉士養成施設を卒業した後、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業し、介護福祉士の国家試験に合格する方法。
保育士養成施設を卒業した後、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業し、介護福祉士の国家試験に合格する方法。
大きく変わった介護福祉士取得ルート
平成28年に行われる第28回介護福祉士試験を最後に、平成29年からは資格取得までのルートが大きく変更されました。
実務経験3年以上であれば試験資格が得られたのですが、実務経験3年以上に加え実務者研修の修了が必須条件となりました。また、養成施設ルートでは学校を卒業さえすれば介護福祉士が取得できたのですが、他のルート同様に国家試験に合格しなければ、介護福祉士になれなくなりました。
実務経験ルートが全体の8割以上
この中で、毎年、最も多くの介護福祉士が誕生しているルートが実務経験ルートです。というのも、介護業界で働く大半は中途採用やパート・アルバイトからの正規雇用の方がほとんどです。すでに現場で働き始めているということと、国家資格の取得を目指して学校に通うのはあまりにも現実的ではありません。
こういったことから、実務経験ルートで介護福祉士を目指す人は、全体の8割以上となっています。
実務経験ルートで必要な実務経験日数は?
実務経験ルートで介護福祉士になるには、何よりも3年以上の実務経験が必要になります。3年以上と言われてもいまいちピンとこない方も多いと思いますが、正確には1095日以上の従業期間と540日以上の従業日数が必要になります。
従業期間・従業日数は共に筆記試験前日までの通算となりますので、毎年1月上旬に行われる介護福祉士の筆記試験までに規定の日数を満たしていれば問題ありません。
実務経験ルートで必要なその他の資格は?
実務経験日数意外にも、介護福祉士以前の資格の取得が必須条件となります。実務経験ルートでは、平成29年からは実務者研修の修了が受験資格となっています。つまり、いくら実務経験の年数を満たしていても、実務者研修を修了していなければ試験を受けることすらできません。
すぐに実務者研修を取得した方が早くて安い?
介護福祉士に限らず、介護業界でキャリアアップを目指す人は、一般的に「介護職員初任者研修 ⇒ 実務経験3年 ⇒ 実務者研修 ⇒ 介護福祉士」といった順番でステップアップしていきます。このような資格の取得順序は厚生労働省も推奨しています
しかし、ここで注意してもらいたいことが1点あります。それは、実務者研修は無資格者でも介護未経験者でも、取得することができるということです。つまり、「実務者研修 ⇒ 実務経験3年 ⇒ 介護福祉士」といった取得順序でも問題ないのです。
これから介護士として働こうという方は、絶対に介護職員初任者研修から取得した方がいいとこは言うまでもありません。しかし、既に介護士として1年~3年以上働いているという方が、介護士の初級資格でもある介護職員初任者研修を取得する必要はまったくありません。
無資格・中堅の介護士が介護福祉士を目指すなら?
資格を持っていないが、介護士として数年働いているという介護士は意外と多いと聞きます。その理由は様々で、「お金がない」「勉強する時間がない」「どうやって取得すればいいか分からない」といった人も多いようです。
そんな、無資格で中堅の介護士が心機一転で介護福祉士を目指すなら、真っ先に実務者研修の取得を目指すべきです。その理由を私なりにまとめてみましたのでご覧頂ければと思います。
介護職員初任者研修は本当に必要な資格なのか?
キャリア3年ほどの介護士が介護福祉士の資格取得を目指す場合を想定しました。実務経験はクリアしているので、あとは資格の取得だけといったケースです。
多くのメディアでは「介護職員初任者研修を取得してから実務者研修を取得するといい」とうたっていますが、果たしてそれは最善の方法なのでしょうか?資格取得までの期間と費用を比較してみました。
介護職員初任者研修について
まず介護職員初任者研修についてです。資格を持っていない人が介護職員初任者研修を取得しようとした場合、40時間の自宅学習と90時間のスクーリングが必要で、合計130時間を資格取得に費やすこととなります。しかし、大抵の場合は仕事との両立をしなければいけなく、介護職員初任者研修の取得までは早くて2ヶ月、標準で4ヶ月かかります。また費用は、安くて7万円前後、高いところだと15万円といった学校もあります。
取得までの期間 | 2ヶ月~4ヶ月 |
---|---|
取得費用 | 7万円~15万円 |
実務者研修について
実務者研修は、資格を持っていない人の場合だと受講期間は450時間で形式上の研修期間は原則6ヶ月ですが、実際は自宅学習が2ヶ月程度、通学講習が1~7日間となっています。費用は14万円~20万円が相場です。
取得までの期間 | 6ヶ月(実際は2ヶ月~3ヶ月) |
---|---|
取得費用 | 14万円~20万円 |
介護職員初任者研修と実務者研修を比べてみると、取得までの期間や費用に大きな差はないように感じられませんか?
実務者研修は保有資格による免除もあるが…
実務者研修には今持っている介護関連の資格によっては、科目や費用の免除が受けられます。まず、免除される科目ですが、基本的には該当する資格の受講時間分がそのまま免除となるようです。
形式 | 実務者研修 科目名称 | 時間数 | 無資格 | ホームヘルパー | 介護職員基礎研修 | |
2級 | 1級 | |||||
通信 | 人間の尊重と自立 | 5 | ○ | 免除 | 免除 | 免除 |
社会の理解 Ⅰ | 5 | ○ | ||||
社会の理解 Ⅱ | 30 | ○ | ○ | |||
介護の基本 Ⅰ | 10 | ○ | 免除 | |||
社会の基本 Ⅱ | 20 | ○ | ||||
コミュニケーション技術 | 20 | ○ | ○ | |||
生活支援技術 Ⅰ | 20 | ○ | 免除 | |||
生活支援技術 Ⅱ | 30 | ○ | ||||
介護過程 Ⅰ | 20 | ○ | ||||
介護過程 Ⅱ | 25 | ○ | ○ | |||
発達の老化の理解 Ⅰ | 10 | ○ | ○ | |||
発達の老化の理解 Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
認知症の理解 Ⅰ | 10 | ○ | ○ | |||
認知症の理解 Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
障害の理解 Ⅰ | 10 | ○ | ○ | |||
障害の理解 Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
こころとからだのしくみ Ⅰ | 20 | ○ | 免除 | |||
こころとからだのしくみ Ⅱ | 60 | ○ | ○ | |||
医療的ケア | 50 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
スクーリング | 介護過程 Ⅲ | 45 | ○ | ○ | ○ | 免除 |
医療的ケア・演習 | 12 | ○ | ○ | ○ | ○ |
また、免除される受講費用ですが、持っている資格のランクによって免除額も変わってきます。
保有資格 | 受講料 |
---|---|
介護職員基礎研修修了者 | 31,000円 |
訪問介護員1級課程修了者(ホームヘルパー1級) | 99,000円 |
訪問介護員2級課程修了者(ホームヘルパー2級) | 127,000円 |
介護職員初任者研修修了者 | 127,000円 |
無資格の方 | 143,000円 |
こうして見ると本来推奨されている、介護職員初任者研修を取って実務者研修の取得を目指す場合だと、介護職員初任者研修の130時間がそのまま免除されますが、費用は少なくても2つの資格の合計で20万円ほどかかってしまう事になります。
また、介護職員初任者研修の取得には、筆記試験やその他の準備にも相当な時間をようすることとなるので、明らかに多少の無駄が発生することになりそうです。
これらの情報をもとにもう一度整理してみると、介護福祉士を取得するにあたって、介護職員初任者研修を取得せずに、すぐに実務者研修を取得した方が、最短で費用も安く抑えられることが分かると思います。
今から介護士を目指すという方は、「まずは介護職員初任者研修を取ったほうがいい」という嘘の情報に惑わされず、いきなり実務者研修から取得を目指してはいかがでしょうか?
実務者研修が取得出来る学校を探す
学校によっては費用や取得までの期間が違うので、必ず複数の学校を比較するようにしましょう。学校の比較にはシカトルの無料資料請求がオススメです。自宅から近い学校を複数探してくれて、資料も取り寄せることが出来ます。学校はインターネットでも調べられますが、検索に表示されない学校の方が、実は安かったという場合もありますので、損しない為にも資料請求を利用しましょう。
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